ミカン園の灌漑管理にリモートセンシング技術を活用
※株式会社ジェピコは、AgEagle社MicaSense製品の正規代理店です。
※公式HPにおける本文はこちら。
この記事では、気候変動の影響を大きく受けるチリのミカン農園にてMicaSenseのマルチスペクトルカメラを活用した例を紹介します。
前述した通り、チリの農業では気候変動の影響を大きく受けています。かつて、柑橘類の収穫が盛んであったチリも現在では「農業非常事態宣言」が発令し10年前と比較した際に90%以上の降雨不足が問題視されています。そこで起きるのが深刻な水不足。従って、チリの農業では水のモニタリングが極めて重要であり、限りある資源をいかに有効活用するかが課題になっています。
適切な灌漑は、高品質なミカンを生産するうえでの鍵であり、過剰な水のやりすぎは糖度、酸度、色素、果実の大きさなど、果実の品質パラメーターに悪影響を及ぼします。一方で水が不足すると生育の遅れ、まだらな開花、果実の大きさのバラツキなどデメリットが生じます。つまりミカンの状態に合わせて適切な処置が必要になるのです。
灌漑管理のためのリモートセンシング
CWSIは、葉温に基づいて作物の水のあげすぎによるストレスを定量化するために最も頻繁に使用される指数です。CWSIでは、0から1の範囲で1に近いほど「水ストレスの度合いが高い」とします。
チリの農業サービスプロバイダーであるNutriGIS社は、CWSIのデータを取得し、果樹園の水状態を分析するために、MicaSenseシリーズのAltum*を使用しています。Altum*(Altum-PT)は、MicaSenseシリーズで唯一サーマルセンサが搭載されており、水はけを確認するには最適です。まず、同社は海抜290メートルのサンティアゴにあるミカン園にてAltum*を搭載したDJI社Matrice 200を飛ばしました。この実験の目的は「ミカンの生産品質を保ったまま水の使用量を減らすための点滴灌漑システムを評価する」ことでした。
*ALTUMは現在販売を終了しております。現在は、新製品としてAltum-PTの取り扱いをしております。
▼点滴灌漑システムのイメージ
結果
NDVIとレッドエッジ指数は、植物の光合成状態を踏まえて高解像度表面分類するために使用されました。(画像提供:NutriGIS)
また、Altumに搭載されたマルチスペクトルバンドとサーマルセンサで水ストレスの度合いをCWSIで示しています。
以下の図4でハイライトされた植物は、根の水分不足によるストレスのため、水分が少なく、温度が高くなっています。
図4(画像提供:NutriGIS)
一方、目視による調査では、水分不足は滴下や漏水によるものではなく、土壌管理によるものであることが判明しています。水ストレスがある箇所はストレスが少ない箇所と比較時に砂質ローム(土壌)であったことがわかりました。
この情報から、NutriGISチームは灌漑方法の変更を推奨し、高ストレスエリアではパイプサイズを調整してより大きな圧力をかけるようにしました。また、NDVIとレッドエッジ指数を使用して、植生被覆率に基づく新しい灌漑方法を決定し、果樹園の灌漑に必要な水の量を15~20%削減することに成功しました。
結論
Altumのマルチスペクトルとサーマルデータは、ミカンの育成に大きく貢献する可能性を秘めており、管理者は資源の有効活用及び無駄を減らすことができます。
問い合わせ
e-mail: jepico_HSP@jepico.co.jp
関連記事
ジェピコ限定特典情報:
・【ジェピコ限定】MicaSenseマルチスペクトルカメラ新規ご購入者様へ!PIX4Dfields無料お試しライセンス提供いたします。
製品紹介:
・弊社はMicaSense社のプレミアムパートナーに選ばれております
・新製品「RedEdge-MX Blue」リリースのお知らせ
・MicaSense社新製品RedEdge-Pが販売開始しました!
・MicaSense社新製品ALTUM-PTが販売開始しました!
・「MicaSense社RedEdge-MX:DJI Skyportとクイックマウントキットの違い」
・MicaSense社新製品RedEdge-Pが販売開始しました!
・MicaSenseが狭帯域バンドを採用する理由
基本情報
・【農業リモートセンシング】AgEagle社 MicaSenseシリーズのセンサにおける科学的原理とは
・【MicaSenseが高品質な理由】マルチスペクトルカメラ使用時のラジオメトリック補正の重要性について
・【MicaSenseが高品質な理由 2】日照条件別に紹介、上手なラジオメトリック補正とは
事例紹介:
・デュアルカメラシステムの活用例
・病気の早期発見におけるレッドエッジバンドの重要性 ”カンザス州 冬小麦における事例紹介”
・Rededge-MXの活用事例:水面植物(アサザ)編
・Rededge-MXの活用事例:クロロフィルマップによる真菌の特定編
・RedEdge-MXの活用事例:窒素管理による冬小麦の収穫量最大化
・RedEdge-MXの活用事例:大豆生産農場における陶管の位置特定
・デュアルカメラシステムの活用事例:ミント栽培における有害雑草の検出
・RedEdge-MXの活用事例:森林における雹(ひょう)の被害調査
・MicaSense社RedEdge-MXの活用事例:小麦への肥料と殺菌剤の影響を研究
・MicaSense社マルチスぺクトラルカメラを利用した沿岸部の植物や藻類の育成状況の調査提案
インテグレーション説明:
・RedEdge-MXカメラのDJI社Inspire2への取付け方法
ソフトウェア説明:
・Atlasデータクラウドでマルチスペクトラルカメラの画像処理をしてみましょう!【植生指数(NDVI)表示】
・Pix4D mapper上での処理方法について
撮影データセット:
・MicaSense社マルチスペクトラルカメラで撮影した水耕栽培データを公開いたします!
セミナー動画:
・MicaSense社マルチスペクトルカメラ×Pix4D fields オンライン共同セミナー動画を限定公開いたします!
よくある質問集:
・MicaSense社マルチスペクトルカメラ よくある質問集
株式会社ジェピコ 製品担当:森園
E-mail:jepico_HSP@jepico.co.jp
最新情報更新中!