MicaSense社Rededge-MXの活用事例:水面植物(アサザ)編
目次
1 活用の背景2 実際に行われた対策内容と検証方法
3 検証結果
4 今後の対応
5 関連記事
1 活用の背景:
アサザは繁殖力が強く、多くの湖や池に存在する在来種に影響を与える存在です。アサザが発生させる多量の葉は、他の植物を覆い隠し、光を遮断、また水中の酸素濃度を低下させることで蚊の繁殖地となり、ボートや釣りなどのアクティビティに影響を及ぼします。※アサザ(学名:Nymphoides peltata)はミツガシワ科アサザ属の水生多年草で、北米において侵略的外来種とみなされている植物です。
アメリカのオクラホマ州にあるカールブラックウェル湖にもアサザが生息していました。カールブラックウェル湖は、オクラホマ州立大学が管理する中規模の貯水池で、キャンパスの飲料水にもその水が使用されます。 オクラホマ州立大学の研究者たちは、カールブラックウェル湖にアサザが長期的に存在することで起こる様々な問題を危惧し、この問題に迅速な対策が行われました。
2 実際に行われた対策内容と検証方法:
人の手で除草することは非常に難しいため、除草剤を散布することが決定されました。ただし、湖の水質や在来種に害を及ぼさないように限定的に且つ小規模に行う必要がありました。選ばれた除草剤は飲料水への影響が無く安全であると評価されており、アサザ繁殖対策のために他の州で既に使用されて実績のあるものでした。
この除草剤散布の効果を監視するためにオクラホマ州立大学の研究者は、ドローン撮影によるマルチスペクトラル(Multi Spectral)カメラ画像と衛星画像(Sentinel-2)の組み合わせによる、リモートセンシング(Remote Sensing)手法を使用したいと考えました。ドローン撮影によるマルチスペクトラルカメラに、MicaSense社RedEdge-MXを選定し、DJI社製ドローンに搭載することを決定しました。選択した理由の1つとして、MicaSense社のキャリブレーションの確実性でした。MicaSense社のマルチスペクトラルカメラには照射度センサであるDLS2とキャリブレーションパネル(Calibration Panel)が付属し、太陽の向きなどを考慮したより高い精度でのデータ取得が可能です。 この取り組みでは4月から10月までの間、計13回撮影する必要があったため、より精細なデータの再現性/整合性が必要でした。
除草剤散布前のカールブラックウェル湖のRGB画像(Sentinel-2より) アサザは上画像では薄緑色に見えます。
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水面上でマルチスペクトル画像を撮影する際は、画像の正確なステッチング処理を可能にするために、水面の状態が均一(波などが無い状態)でなければなりません。 オクラホマ州立大学の研究者チームはオーバーラップ率を80%に増やし、ソフトウェアがステッチング処理のための特徴点が十分に得られるように工夫しました。
こちらの画像はRedEdge-MXで撮影したRedEdge/Red/Greenのバンドを利用したフォールスカラー画像です。
3 検証結果:
彼らは最初のフライトで湖の約1%に当たる広さに除草剤を散布しました。RedEdge-MXを使用することで、湖に存在する在来種の健康状態を監視することを可能にしました。また、衛星画像(Sentinel-2)のRGB画像とフォールスカラー画像からより大きな範囲における、除草剤散布後のアサザ繁殖の変化を監視しました。こちらの監視は衛星画像の粗い解像度(10m/pixel)で十分な効果を確認することができ、湖に繁殖するアサザ全体の96%が枯れたことがわかりました。4 今後の対応:
アサザは再度繁殖する恐れがあるため、これからもアサザの繁殖を防ぐための努力は続いていきます。アサザはラメット(匍匐茎)を生成することで繁殖するため、全て枯れたように見えた後も離れた場所へ浮遊し、再度新しい場所でラメットを生成する可能性もあり、また、湖の底で休眠状態を保つ可能性もあります。カールブラックウェル湖を保護し、州の他の湖や池にアサザが広がるのを防ぐために、今後もリモートセンシングによる取り組みは継続されています。引用した記事は、こちら(英文)です。
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