【オーバーラップについて】フライト時間を5分長くする5つの理由
株式会社ジェピコは、AgEagle社(MicaSense・eBeeドローン)の正規代理店です。
参考記事: 5 reasons to fly 5 minutes longer - AgEagle Aerial Systems Inc.
最近の農業用ドローン業界では、オーバーラップの少ないデータを取得・処理する方法に注目しています。画像同士の重なりを減らすことで、全体的な飛行時間を短縮し、最終的に撮影にかかる時間とコストを節約に繋がるためです。但し、代償として精度、解像度、貴重なアウトプットが犠牲になります。また、標準的なオーバーラップ率(70%)での飛行時、低いオーバーラップ率(25%)で飛行したときよりもフライトプラン時間が延びたものの、その差はたった5分でした。
ここからは、フライト時間を5分延長すべき理由ついてご紹介します。
目次
1. DSM
地形と株の高さが異なるブドウ畑のDSM。
写真提供:Agromapping
標準的なオーバーラップ・データからしか得られない重要な出力として、デジタル・サーフェス・モデル(DSM)があります。DSMは、主に地表面の特性と水の流れを評価するために使用されるため、特に農学者にとって有効なツールです。下の画像において、ある農学者がNDVIとDSMを組み合わせて使用し、ジャガイモの不作の原因を水のあげすぎと突き止めました。このような問題は、植物のストレスや病気だけに注目しがちな植生指標だけでは特定が難しい傾向にあります。
DSMは、各画像の異なる角度から撮影された共通点を比較してマッチングさせ、3次元モデルを構築する写真測量プロセスによって作成されます。一致する点が多ければ多いほど、モデルの精度が高くなり、出来上がったモザイクに現れるノイズも少なくなります。対照的に、オーバーラップの少ない処理方法は、携帯電話がパノラマ写真を作成する手法で画像をつなぎ合わせます。その際に、正確なモデルを作成するための十分な比較ポイントがないため、3Dモデルを出力をすることはできません。
2. 傾斜した地形
さまざまな地形で撮影された画像をつなぎ合わせる場合、正確な3Dモデリングには高いオーバーラップが不可欠です。オーバーラップがないと、各画像に共通の参照点がないため、オブジェクトの位置がずれたり、距離が歪んだりといったアーチファクトが発生します。また、低いオーバーラップ率のデータは、飛行中にカメラが完全に直下(下向き)を向いていない限り、地形が完全に平坦に写ります。
3. 日光の反射
植物は多くの太陽光を吸収しますが、その多くが空やカメラに反射します。また、太陽光と植物の反射光は拡散しないため、撮影された画像にはそれぞれまばらに明るい場所やグラデーションが生じます。その位置は、太陽とカメラの地面に対する向きと角度の組み合わせによって決まります。
同じエリアをカバーする複数の画像が重なっている場合、異なる画像からのデータを組み合わせることで、グラデーションを除去または大幅に減らすことが可能です。上の例では、2つの画像があり、それぞれに太陽光があたっています。先述したように様々な角度が関係しているため、双方の画像でグレアの位置が異なって見えます。これを解決する方法のひとつとして、下の画像を上の画像の後ろに、上の画像を3つ目の画像の後ろに重ねるだけで、太陽のまぶしさを完全に隠すことができます。この場合、オーバーラップ率はかなり高くなければありません。
さらに複数の画像を重ねることで、さまざまな角度から地表の反射率を複数回測定することができ、より正確な反射率マップを作成することができます。これは、データから生成されるNDVIやその他の指標がより正確です。
4. ソリューションの評価
ほとんどの標準的な写真測量ソリューションでは、出力解像度は通常、入力解像度と同じです。8cm/pxのデータを収集した場合、処理後の出力も8cm/pxになります。
低いオーバーラップ率では、処理後にデータの完全な解像度が得られない場合があります。生じるエラーやアーチファクトの影響を軽減するための一般的な手法は、出力データの解像度を下げることです。例えば、データが4cm/pxの解像度で撮影された場合、処理後の出力は10m/pxまで縮小される可能性があります。様々なソリューションを評価する際には、データのディテールを損なわぬよう処理後の出力解像度が入力解像度と同じかどうかを確認することが重要です。
5. ソフトウェア選択時の自由度
オーバーラップの少ないデータを処理するには、多くの場合、専用のソフトウェアが必要になります。一方、標準的なオーバーラップ・データを処理する際のソフトウェア選びは種類が豊富なゆえ自由度が高く、中には現場にいながら数分で処理できるソリューションなども存在します。
まとめ
低いオーバーラップ率で飛行することで時間を節約できるのは事実ですが、標準オーバーラップで収集したデータから、DSM、より高い精度・解像度、信頼性の高い農業指標の取得や、ソフトウェアの選択肢が広がるなど多くのメリットがあります。
問い合わせ
e-mail: jepico_HSP@jepico.co.jp
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