MicaSense社RedEdge-MXの活用事例:窒素管理による冬小麦の収穫量最大化
目次
1 はじめに
2 RedEdge-MXを使用した窒素管理アルゴリズム
3 研究方法
4 研究結果
5 まとめ
1 はじめに:
世界中の農業研究者の方々は、いかに農作物の収穫量を効率よく増やし、環境への影響を減らすことができるかを常に模索しています。
カンザス州立大学(KSU)助教授アントニオレイアセベド博士は、農業における窒素管理を改善するために、ドローンとマルチスペクトルカメラの組み合わせを研究しています。
アセベド博士は、「現在、マルチスペクトラルカメラとドローンは農学における窒素管理の研究を行うための非常に貴重なツールになる可能性があります。窒素センサーによる可変施肥のために、農家は多額の費用をかけます。 適切なアルゴリズムを使用して、農作物の収穫量増加に役立つようにします。」と述べています。
2 RedEdge-MXを使用した窒素管理アルゴリズム:
彼はMicaSense社のマルチスペクトルカメラRedEdge-MXを評価し、MicaSense社マルチスペクトラルカメラの取得する5つのバンド、Blue/Green/Red/RedEdge/近赤外線は、窒素管理アルゴリズムに理想的であることを発見しました。
カンザス州立大学既存のアルゴリズムのほとんどはアクティブ光学センサー用に作成されたものであり、アセベド博士はそれらのアルゴリズムがRedEdge-MXで機能するかどうかだけではなく、マルチスペクトラルカメラに最適化された窒素管理アルゴリズムを作成できるかどうかを確認したいと考えました。
これらのアルゴリズムは、窒素レートの決定だけではなく窒素散布の最適なタイミングを決めることにも役立ちます。
3 研究方法:
彼はカンザス州の5つの場所を調査し、それぞれの場所に異なる処理を適用しました。冬小麦が成長する季節を通じて、彼は土壌サンプルを収集し、地上ベースにおいてはアクティブ光学センサーで撮影し、ドローンベースにおいてはRedEdge-MXを使用しマルチスペクトラル画像を撮影しました。
彼はマルチスペクトラルカメラ画像をMicaSense社の提供するクラウドサービスであるAtlasにアップロードし、NDVIを含むその地域の複数のマップレイヤーを作成しました。
次に、Atlasで作成されたNDVIを地上のアクティブ光学センサーから取得したNDVIと比較し、カンザス州立大学の標準アルゴリズムの1つを使用して窒素レートの推奨を行いました。冬小麦が成熟したら全ての土壌から収穫し、穀物の収量を推定し、穀物の水分量と窒素濃度を評価しました。
4 研究結果:
彼はNDVI等のデータを農作物の成長段階で複数回取得することで、より良い結果が得られ収穫量を増加させることに繋がると述べています。
また、MicaSense社RedEdge-MXで撮影されたデータは、実際にはアクティブ光学センサー用に設計されたアルゴリズムで実際に使用できることも発見しました。 RedEdge-MXとアクティブ光学センサーが同様のNDVIを生成し、時間の経過と共に酷似しました。
「窒素レートについて考える良い方法は、広大な土地でもそれを小さな土地に分割することです。マルチスペクトラルカメラで撮影し、小さい土地に分割する方法を決定できます。地域の土壌の変化、作物の相互作用、天候の影響にも対処できます。個々のニーズに応じてその土地の特定の部分に対応することで、通常適用される包括的な窒素アプリケーションと比較して、より最適化された窒素管理を行うことができます。」
5 まとめ:
RedEdge-MXデータを現在のカンザス州立大学で使用しているアルゴリズムと組み合わせると、農業効率が大幅に向上しました。また最小限の窒素を適用し、冬小麦の品質もより高く評価しました。
RedEdge-MXデータを最大限に活用するために、アセベド博士はカスタムアルゴリズム作成に取り組んでおり、2016年から2017年のシーズンも研究を続けています。主な目標は、収穫量を低下させることなく60〜70%の農業効率を達成することです。
「これらのアルゴリズムとシステムの最終目標は、少ない窒素でより多くの収穫量を生み出すことです。これは、農家が1エーカーあたりの利益を増やし、より高品質の穀物を生産することを意味します。つまり、2050年までに90億人の世界を養うのに役立ちます。また、窒素の使用量を減らし、作物が最も効率的に吸収されるタイミングにそれを適用する。環境への影響も軽減され、持続可能な農業システムで誰にとっても有利なことになるのです。」とアセベド博士は述べています。
これからもMicaSense社カメラを使用した窒素管理アルゴリズムの研究は続きます。
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