最先端X線検出器「LAMBDA(ラムダ)」が搭載可能な3種類のセンサについて
【更新日時】2021/03/17
目次
はじめに
最先端X線検出器「LAMBDA(ラムダ)システム」を製造するX-Spectrum社(ドイツ)
・より早く
・より大きく
・より正確に
これら三点が揃った「LAMBDA」に搭載可能なセンサ材質を詳しくご紹介いたします。
1. 初期検討のために
検出器を選定する際の判断基準は、測定したいエネルギー帯です。
X-Spectrum社はSi(シリコン)、GaAs(ガリウムヒ素)、CdTe(テルル化カドミウム)を選択いただけますが、各材質による吸収効率の違いは以下図に示します。
Photon Energy (keV) | Si 300 um | Si 500 um | GaAs 500 um | CdTe 1000 um |
5 | 100.0 | 100.0 | 100.0 | 100.0 |
10 | 90.1 | 97.9 | 100.0 | 100.0 |
15 | 49.8 | 68.3 | 100.0 | 100.0 |
17.5 | 34.9 | 51.2 | 100.0 | 100.0 |
20 | 24.9 | 37.9 | 100.0 | 100.0 |
25 | 13.3 | 21.2 | 99.7 | 100.0 |
30 | 7.8 | 12.6 | 97.2 | 100.0 |
40 | 3.2 | 5.3 | 79.1 | 100.0 |
50 | 1.6 | 2.7 | 55.7 | 99.7 |
70 | 0.5 | 0.9 | 25.9 | 90.5 |
100 | 0.2 | 0.3 | 9.8 | 57.4 |
150 | 0.0 | 0.1 | 3.0 | 23.4 |
200 | 0.0 | 0.0 | 1.3 | 11.0 |
Table 1: Calculated absorption efficiencies of all X-Spectrum sensors (%)
それぞれの材質によって、測定に適したエネルギー帯があることが分かります。
Si (20keV以下) < GaAs (20-50keV) < CdTe (50keV以上)
次に各センサの特徴をご紹介します。
2. 各センサ材質の特長
(a) Si (シリコン)
エネルギー帯 :6~25keV
センサ構造 :モノリシック
センサ厚 :300µm(通常) or 500µm(オプション)
冷却方式 :空冷か水冷(LAMBDA 750Kサイズまで)、750Kシステム以降は水冷のみ
Siの特徴として、センサの平坦性・ピクセル毎の計測信号の差異が少ない・蛍光現象の影響がない、高輝度照射下の安定性などが挙げられます。
(b) GaAs (ガリウムヒ素)
エネルギー帯 :10~50keV
センサ構造 :モノリシック(LAMBDA 350Kまで)、350Kシステム以降は複数チップ
センサ厚 :500µm
冷却方式 :水冷のみ
GaAsの特徴として、蛍光現象の影響なし、ゴースト現象なし(放射線耐性有)などが挙げられます。そのため、ピクセル毎の計測信号の差異が大きい一方、時間経過による変動が少ないため、次に紹介するCdTeよりフラットフィールド校正がシンプルに実施可能です。
(c) CdTe (テルル化ガドミウム)
エネルギー帯 :50keV以上
センサ構造 :モノリシック(LAMBDA 350Kまで)、以降は複数チップ
センサ厚 :1000µm
冷却方式 :水冷のみ
CdTeの特徴として、高エネルギー領域での検出能力が優れており、ピクセル毎の計測信号差異も緩やかです。一方で、蛍光現象の影響(Cd: 23keV, Te: 27keV)を受ける点や、高エネルギー帯ではが帯電効果が観測され、影が視覚化されるようになります。
また、温度変化よる影響が大きいので、性能を安定化させるための温度管理が必要です。
3. センサごとの冷却方式
各センサ材質の冷却方式は下図をご参照下さい。
Sensor Material | 60k | 250k | 350k | 750k | 1.5M and larger | Vacuum systems |
Si | Air or water | Air or water | Air or water | Air or water | Water | Water |
GaAs, CdTe | Water | Water | Water | Water | Water | Water |
より詳しい情報はX-Spectrum社ホームページもしくは弊社までお問い合わせ下さい。
センササイズなどの情報はこちらをどうぞ。
【本製品に関するお問い合わせ】
株式会社ジェピコ スペース&コミュニケーションマーケティンググループ
担当:齊藤、佐々木
TEL: 080-5982-5203 (ダイアルイン)