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ロータリーエンコーダー選定で失敗しない:設計前に確認すべき5つの質問

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ロータリーエンコーダー選定で失敗しない:設計前に確認すべき5つの質問

ロータリーエンコーダーは、ノブやダイヤルの回転を「信号」に変えてマイコンなどコントロールデバイスへ伝える部品です。

ただし現場では、データシートの数値だけで選ぶと「想定より故障が多い」「ノイズで誤動作する」「操作感が合わずクレームになる」といった失敗が起こりがちです。
そこで本記事では、初心者エンジニアの方でも判断しやすいように、設計前に整理しておくべき“使用環境・使われ方”、及び選定のための5つの質問をまとめさせていただきました。


 始めに:まず整理したい「使用環境」と「使われ方」

エンコーダーは“手で触れる入力部品”なので、環境条件の影響を受けやすいです。以下の観点を先に決めておくと、候補の絞り込みが速くなります。

1) 設置場所:屋内/屋外/筐体内

  • 屋内(比較的清潔):計測器、操作盤、オフィス機器、検査装置など
  • 屋外・半屋外:建機・農機、船舶、屋外制御盤、充電器・券売機など(温度変化・結露・雨水の可能性)
  • 筐体内(密閉):外気に触れにくい一方、熱がこもる/結露が起きるケースもあります

ここで重要なのは「想定外の侵入」です。粉塵・水分・清掃液が“たまに”かかるだけでも、故障率は跳ね上がります。

2) 汚れ・粉塵・液体:何がどの程度かかるか

  • 粉塵が多い:工場(切粉・研磨粉)、木工、セメント、食品粉体、屋外砂塵
  • 水分・結露:屋外、冷暖房の温度差、冷凍・冷蔵設備周辺、港湾・沿岸
  • 清掃・消毒:医療機器、食品製造、厨房設備(アルコールや洗剤、拭き取りが日常)
  • 油・薬品:工作機械、印刷、化学プラント周辺(油膜・溶剤ミスト)

こうした環境では、防塵・防水(IP等級)やシール構造の検討が効いてきます。

3) 温度・湿度:仕様表より「変化幅」と「結露リスク」

  • 高温:密閉筐体、日射のある屋外ボックス、発熱部品の近傍
  • 低温:屋外冬季、冷凍設備、寒冷地輸送機器
  • 高湿度:沿岸、地下施設、浴室近傍、季節変動の大きい場所

温湿度は“最大/最小値”だけでなく、急激な温度変化=結露が要注意です。

4) 振動・衝撃:ノブを回す“環境”そのものが揺れる

  • 振動がある:車載・建機・鉄道・船舶、モーター近傍、コンプレッサ周辺
  • 衝撃がある:携帯機器の落下、運搬、扉の開閉衝撃、工具の当たり

振動環境では、ノブの「戻り」や接点チャタリングが増え、誤入力(意図しないカウント)につながることがあります。

5) 操作条件:誰が、どんな状態で、どれくらい回すか

  • 操作頻度:1日数回か、1日数千回か(寿命設計に直結)
  • 手袋操作:厚手手袋でも確実に回せるトルク・クリック感が必要
  • 視線を外せない:ノールック操作(触感フィードバック)や押下決定が有利
  • 誤操作の許容度:医療・安全系は「1ステップの確実さ」を優先しがち

仕様が同じでも、“クリック感(デテント)”の有無で操作ミスや満足度が大きく変わります。

6) 電気的条件:ノイズ源と配線距離

  • 配線が長い:筐体の前面パネル〜基板が離れている、ハーネスが長い
  • ノイズ源が近い:モーター、インバータ、リレー、スイッチング電源
  • 入力回路:プルアップ/プルダウン、フィルタ、デバウンス(ソフト/ハード)

エンコーダーはパルス信号なので、ノイズがあると「勝手に回った」ように見えることがあります。配線と入力回路の設計もセットで考えるのが安全です。


ここまでの環境・使われ方が事前に整理できると、次の「5つの質問」が“仕様の穴埋め”ではなく、失敗しないための選定基準として機能します。


 質問1:3.3Vと5V、どちらを選ぶべき?

まず最初に確認したいのはシステムのロジック電圧です。エンコーダーはHMI(ヒューマン・マシン・インターフェース)の入力部品なので、 マイコンやSoC、I/O電源(GPIO電圧)と噛み合っていないと、レベル変換やノイズ対策が増え設計が複雑になります。

  • 5V:産業機器・車載などで長く使われてきた標準。既存設計・互換性重視に向きます。
  • 3.3V:近年の省電力・小型機器の主流。バッテリー機器や低消費電力設計で有利です。

迷ったら「基板側のロジック電圧に合わせる」が基本です。バッテリー駆動や省電力要件が強いなら、3.3V対応(低消費電力品)を優先すると後悔が減ります。


 質問2:100万サイクル寿命は投資に見合う?

次に重要なのが想定寿命(回転サイクル)です。選定でよく起きる失敗は、カタログ上は問題なく見えても、実使用の“操作頻度”を甘く見積もってしまうことです。

一般に、光学式(オプティカル)は接点摩耗が起きにくく長寿命になりやすい一方、機械式はコストを抑えやすい反面、寿命が短めのことがあります。 ここは「初期コスト」ではなく、故障時の影響(現場停止、修理、クレーム、保守交換工数)まで含めて判断するのが現実的です。

  • 医療・防衛・航空・業務機器など「止まると困る」用途:長寿命(例:100万サイクル級)を検討
  • 低価格コンシューマーなど「交換前提」用途:コスト優先も選択肢

 質問3:カチカチ(デテント)か、スムーズ回転か?

これは仕様書だけでは決めにくいのですが、製品の“使いやすさ”に直結します。ユーザーが回すノブの体験は、エンコーダーのデテント(クリック感)で大きく変わります。

デテント(クリックあり)が向く例

  • メニューの項目移動、段階的な設定(温度、モード切替など)
  • 「1クリック=1ステップ」で操作ミスを減らしたいUI
  • 手袋操作・振動環境など、触覚フィードバックが重要な現場

スムーズ回転(クリックなし)が向く例

  • 音量・明るさなど、連続的で微調整したいパラメータ
  • “高級感”や滑らかな操作感を演出したいUI

ここは可能なら実機で触って決めるのが最短です。操作感が合うと、同じ機能でも製品全体が「しっかりしている」と評価されやすくなります。


 質問4:IP保護等級(防塵・防水)が本当に必要なのはいつ?

「室内だから不要」と判断しがちですが、実際は粉塵・湿気・清掃液・結露がトラブル原因になることが多いです。 IP(Ingress Protection)は、エンコーダー内部への侵入をどれだけ防げるかの目安になります。

  • 不要になりやすい:清潔な屋内、密閉筐体内で外気に触れない、清掃液がかからない
  • 必要になりやすい:屋外、農機・建機、船舶、粉塵環境、病院などの消毒・清掃が日常的な環境

防塵・防水(シール)対応はコスト増になりますが、現場での故障はそれ以上の損失になりがちです。「壊れたら困る」「清掃が多い」なら早めに検討がおすすめです。


 質問5:プッシュボタンはどれくらい重要?

最近のUIは「スクロールして、押して決定(scroll-and-click)」が基本になっています。 タッチパネルは便利ですが、現場では“押せたことが指先で確実にわかる”物理ボタンが強い場面があります。

  • 視線を外せない作業(医療、軍用、オフハイウェイなど):ノールック操作が安全性に直結
  • 手袋・濡れ・汚れ:タッチより物理の方が確実
  • 回転より「押す」操作が多いUIもある(決定・確定の頻度が高い)

プッシュボタン付きにするなら、押下回数(使用頻度)も寿命設計に入れてください。「回転は少ないが決定ボタンは多い」機器は意外と多いです。


 Grayhillのロータリーエンコーダー紹介(リンク付き)

ここからは、上の5つの質問に照らして紹介しやすいGrayhill製品をピックアップします。
用途の当てはめの参考としてご覧ください。

1) 62A-D-V(高操作感ロータリーエンコーダー)

「電圧(3.3V/5V)」「操作感(デテント/非デテント)」「プッシュボタン」「耐環境」まで、設計自由度が高いプレミアム系です。

  • 光学式カップリングで100万回以上の回転寿命
  • asa3.3V/5V、低消費電力オプション
  • デテント:12/16/20/24/32、または非デテント
  • オプションのプッシュボタン(“スクロール&クリック”)
  • −40℃〜+85℃、振動・衝撃・湿度への耐性、シールオプション

製品詳細(62A-D-V)


2) 62SG(長寿命ロータリーエンコーダー)

「薄型」「100万サイクル級」「コストと性能のバランス」を狙いやすいシリーズです。パネル奥行きに制約がある設計で候補になります。

  • パネル背面の奥行きが浅い(薄型設計)
  • 回転寿命:100万サイクル
  • 分解能(PPR):16/24/32
  • プッシュボタンやシールのオプション(構成により)

製品詳細(62SG)
仕様確認はデータシートも併せてご覧ください: 62SG Datasheet (PDF)


3) 63K(マシン向けロータリーエンコーダー / ホール効果)

粉塵や過酷環境、長寿命が最優先なら、ホール効果+堅牢構造の「マシン向け」シリーズが候補です。

  • デブリ(異物)に強いホール効果センサー
  • 25〜256 cycles per revolution など複数選択肢
  • シール版など、より厳しい環境向けの構成
  • 最大3億回の回転寿命をうたう高耐久設計

製品詳細(63K)


4) 機械式エンコーダー(コスト重視の選択肢)

量産コストを最優先するなら機械式も候補になります。想定寿命・操作頻度・保守条件をよく合わせて選ぶのがポイントです。

製品一覧(Mechanical Encoders)

迷った場合は、まず「電圧」「操作感(デテント有無)」「プッシュボタン要否」「環境(粉塵/清掃/水分)」「寿命目標」を先に決めると、候補が一気に絞れます。


 最後に:選定メモ(そのまま使えるチェックリスト)

  • 電源・I/O:ロジック電圧(3.3V/5V)、入力方式、必要ならレベル変換要否
  • 寿命:回転(例:100万サイクル以上が必要か)、押下(プッシュボタンの使用回数)
  • 操作感:デテント有無、デテント数(例:12/16/24/32…)、トルク(軽い/重い)
  • 環境:粉塵、湿気、結露、清掃液、屋外、薬品、温度範囲、振動・衝撃
  • 実装:取付方式、奥行き制約、端子形状(ケーブル/コネクタ/ヘッダ)、ノブとの相性
  • UX:ノールック操作が必要か、決定操作は押下が望ましいか
  • 調達:入手性、代替品、規格(RoHS等)、長期供給

5つの質問に一度答えてからデータシートを見ると、「比較すべきポイント」がはっきりし、選定が速くなります。

弊社では、Grayhill社ロータリーエンコーダーの取扱いを行っております。
この記事で記載のあるような機器選定の基準や注意点、その他ご質問などがございましたらお気軽にお問い合わせ下さい。

 お問い合わせ



担当者: インフラビジネス部 平賀
TEL: 080-5083-6593
E-mail: k_hiraga@jepico.co.jp
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