SpaceWireの次世代宇宙通信規格「SpaceFibre」とは?

目次
- 1)STAR-Dundee社 会社概要
- 2)SpaceFibreとは?
- 3)SpaceFibreの強み
- 4)欧州市場で人気の高いSpaceFibre対応製品
- 5)SpaceFibre・SpaceWire・MIL-STD-1553の比較
- お問い合わせ
1)STAR-Dundee社 会社概要
STAR-Dundee社は、2002年にダンディ大学の研究部門からスピンアウトして設立された、宇宙・航空分野のエンジニアリング企業です。
本社はスコットランドのダンディーにあり、スペイン・バルセロナにも子会社を有しています。
ダンディ大学で研究開発された通信規格「SpaceWire」と「SpaceFibre」を使用する宇宙機器メーカーや研究機関に対し、主に地上用の解析・試験機器を提供しています。
SpaceFibreはSpaceWireを高速化した欧州の次世代通信規格で、STAR-Dundee社は規格制定にも携わっています。 また、社員の約3分の1がPhD取得者で、約85%が技術開発に携わるなど、高い技術力を有しています。 技術的な質問に対して、的確なサポートを受けられる点も同社の特徴です。
2)SpaceFibreとは?
SpaceFibreは、ESA(European Space Agency)向けにSTAR-Dundee社とダンディ大学が各国のエンジニアの意見を取り入れながら共同開発した、 宇宙機搭載型のデータリンク・ネットワーク技術です。
銅線または光ファイバーケーブルで利用でき、光ファイバーの場合は最大100mのケーブル長に対応可能です。
広く利用されているSpaceWire技術の次世代版として、より高いスループットと軽量化を実現しています。 また、QoS(Quality of Service)やFDIR(Fault Detection, Isolation and Recovery)などの機能が追加されています。
2019年5月に「ECSS-E-ST-50-11C SpaceFibre - Very high-speed serial link」として正式に標準化されて以来、 ESAをはじめとするさまざまなミッションで採用されています。 現在では80機以上の宇宙機で実際に搭載、または搭載に向けた設計が進められています。
大量のデータを高速かつ確実に処理できることから、宇宙機だけでなく、防衛・安全保障分野を含む次世代宇宙システムへの採用も進んでいます。
3)SpaceFibreの強み
#1:超高速データ通信
高性能センサー、メモリ、通信システムなど、大容量データ伝送に対応します。
100Gbit/sのリンク速度を実証済みです。
#2:軽量化によるコスト削減
ケーブル重量を最大50%削減し、ビット当たりでは90%以上の削減が可能です。
宇宙機の軽量化とコスト低減に貢献します。
#3:高信頼性
QoS・FDIRにより通信障害を自動的に検出・回復し、システム全体の信頼性向上に貢献します。
高速なエラー検出・訂正(数μs)によりリンク上の異常を早期に検知・処理し、 FDIR(故障検知・切り分け・復旧)によって故障の波及を防止します。
#4:リアルタイム通信
データ遅延が少なく、よりリアルタイムに近い通信が可能です。
決定論的なデータ伝送を実現し、AOCS/GNCなどの制御系アプリケーションにも対応します。
#5:システムの簡素化
複数の通信機能を1つのネットワークへ統合できるため、冗長設計や配線の簡素化が可能です。
#6:SpaceWireとの互換性
既存のSpaceWireシステムを活用しながら、段階的にSpaceFibreへ移行できます。
4)欧州市場で人気の高いSpaceFibre対応製品
STAR-Ultra PCIe Interface
STAR-Dundee社が提供するSTAR-Ultra PCIe Interfaceは、 次世代宇宙通信規格SpaceFibreに対応したマルチレーンインターフェイスおよびリンク解析装置です。 SpaceFibre装置の評価・試験・デバッグを効率化するために設計されており、 接続したホストPCとの間で双方向10Gbit/s超の高速データ通信が可能です。


本製品は2ポートのSpaceFibreクアッドレーンインターフェイスを備え、 各レーンは最大7.5Gbit/sの信号レートに対応しています。 そのため、最大リンク速度は30Gbit/sに達します。
各インターフェイスは8つの仮想チャネル(Virtual Channels)を持ち、 複数通信の同時処理や優先制御など、さまざまな運用に対応します。 さらに、ホット/コールド冗長化や非対称リンク設定など、堅牢な通信構成にも対応しています。
特徴のひとつがリンク解析機能です。 特定のトリガーイベントを検出すると、送受信されるSpaceFibreトラフィックをハードウェアメモリへキャプチャできます。 キャプチャしたデータはPC上で、ネットワーク・パケット・フレーム・ワードレベルまで詳細に解析・可視化できます。
解析結果のフィルタリングやCSV形式でのエクスポートにも対応しており、開発現場でのトラブルシューティングを効率化します。
また、STAR-Systemソフトウェアスイートが付属しています。 Windows/Linux対応のドライバやGUIアプリケーション、C/C++・Python向けAPIなど、さまざまな開発環境をサポートします。
STAR-Ultra PCIe Interfaceは、SpaceFibre機器の性能評価やネットワーク挙動の可視化を強力に支援するツールとして、 宇宙通信機器の開発現場で高い有用性を発揮します。
| Product | STAR-Ultra PCIe Interface | STAR-Ultra PCIe Single-Lane Router |
|---|---|---|
| Interface or Routing Switch | Interface | Routing Switch |
| Number of Ports | 2 | 8 |
| Lanes per Port | Up to 4 | 1 |
| Virtual Channels per Port | 8 | 8 |
| Lane Data Signalling Rate | 1, 1.25, 1.5, 1.875, 2, 2.5, 3, 3.125, 3.75, 5, 6, 6.25, 7.5 Gbit/s |
1, 1.25, 1.5, 1.875, 2, 2.5, 3, 3.125, 3.75, 4, 5, 6, 6.25 Gbit/s |
| Link Analysis | On Port 1 | No |
| Software Channels | 16 | 18 |
5)SpaceFibre・SpaceWire・MIL-STD-1553の比較
| 比較項目 | MIL-STD-1553 | SpaceWire | SpaceFibre |
|---|---|---|---|
| 主な用途 | 衛星・航空機の制御系 | 衛星内部のデータ通信 | 衛星内部の高速データ通信 |
| 規格 | MIL-STD-1553 | ECSS-E-ST-50-12 | ECSS-E-ST-50-11 |
| 通信速度 | 1 Mbps | 最大 約200 Mbps級 | Gbps級 |
| 主なデータ | コマンド・テレメトリ | センサー・制御・画像など | 高解像度画像・大量データなど |
| 通信方式 | Bus型 | Point-to-Point | Point-to-Point |
| 配線 | 比較的シンプル | MIL-STD-1553より高速・柔軟 | 高速通信に最適化 |
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