倉庫・工場の2D LiDARを3D化|Q-Vision F540で実現するパレット検知・箱寸法計測【第3回】

1. 倉庫自動化技術の現状と2Dセンサーの限界
現在の倉庫・物流センターでは、AGV(自動搬送車)やフォークリフトのナビゲーションに 2D LiDAR(平面スキャン型) が広く使われています。2D LiDARは水平面上の障害物検知には有効ですが、3次元空間を把握する能力を持っていないため、以下のような限界があります。
| 課題 | 2D LiDARでの問題 |
|---|---|
| パレット穴の認識 | 上面しかスキャンできないため、フォーク爪を正確に差し込む位置を把握できない |
| 積み荷の高さ管理 | 高さ方向のデータがなく、積み過ぎ・混載を検知できない |
| 箱の寸法計測 | 2Dスキャンでは体積・高さを算出不可能 |
| 棚の状態確認 | 棚の奥行き・はみ出しを検知できない |
| 人との共存 | 床面上しかスキャンしないため、しゃがんだ人や荷物の影を検知しにくい |
これらの限界を補うために、複数台の2D LiDARを組み合わせたり、別途深度カメラを追加したりするケースが多く、システムの複雑化・コスト増につながっていました。
2. 2D → 3D化で何が変わるか
❌ 2D LiDAR(従来)
- 平面(XY)のみのデータ
- 高さ情報なし
- 複数台設置が必要なケースが多い
- 物体の体積・形状を把握できない
- 床上の死角が生まれやすい
✅ Q-Vision F540(3D iToF LiDAR)
- 3次元(XYZ)+強度・色の点群
- 高さ・奥行き・体積を同時把握
- 110° × 90°の広視野角で1台がカバー
- 物体の形状・姿勢・寸法を計測
- Z方向を色分け表示し直感的に把握
F540が出力する3D点群は、距離(Z)に応じて色分けされるため、作業者やシステムが空間を直感的に把握できます。奥行き方向に積まれた荷物の状態、床から浮いたパレットの高さ、棚からはみ出した箱——こうした情報がリアルタイムに可視化されます。
3. ユースケース①:パレット穴の検知(フォーク爪誘導)
🏭 パレット穴の自動検知とフォーク爪誘導
AGVや自律フォークリフトでパレットを持ち上げる際、フォーク爪をパレット穴に正確に差し込む必要があります。2Dセンサーでは水平面上のパレット輪郭しか把握できないため、穴の位置・深さ・傾きを正確に判断することは困難でした。
Q-Vision F540では 4 m 先のパレット穴を3D点群で精密に可視化できます。点群の色はZ距離(奥行き)を表しており、穴の位置・形状・パレットの傾き角をリアルタイムに算出。AGVがこの情報を基にフォーク爪の挿入角度と深さを自動調整します。
- 距離:最大4 m(検知対象:パレット穴)
- 色情報:Z距離をカラーマップで可視化(赤=近、青=遠)
- 輝度(Intensity)情報:木材・プラスチックなどパレット材質の識別にも活用
- 提供サンプルアプリ「Pallet Detection」で即時対応可能
さらに、荷物がパレット上に置かれているかどうか(荷重検知)や、フォーク爪に対して荷物がどの位置にあるかという「重心位置」の算出も可能です。これにより、不均等な荷物の積み付けによる転倒リスクを事前に検知できます。
4. ユースケース②:ステレオカメラ vs 3D LiDARの比較
倉庫の3D視覚化にはステレオカメラを採用するケースもありますが、産業用途においてはiToF LiDARが多くの場面で優位です。
| 比較項目 | 一般的なステレオカメラ | 3D iToF LiDAR(F540) |
|---|---|---|
| 暗所性能 | 不可(自然光・照明が必要) | 完全対応(アクティブIR照射) |
| 距離精度 | 遠距離で誤差が増大 | 全距離で1〜2%以内 |
| 動体対応 | ステレオ演算に遅延あり | 最大60 fpsのリアルタイム計測 |
| 低テクスチャ面 | 白壁・無地パレットで精度低下 | 反射率情報で対応 |
| 産業用堅牢性 | 低(コンシューマグレード) | IP67 / -40℃〜+55℃ / 50G耐衝撃 |
| 直射日光 | 露出オーバーで機能不全 | 100,000 luxまで対応 |
特に倉庫の入出荷口付近や日光が差し込む工場フロアでは、ステレオカメラの性能が著しく低下するケースが多く報告されています。F540は屋外同等の強光環境でも安定動作します。
5. ユースケース③:箱寸法計測・充填確認
📦 箱寸法の自動計測とコンテナ充填確認
物流センターでは、さまざまなサイズの箱を仕分けし、トラックやコンテナへ効率よく積み込む作業が発生します。従来はメジャーや重量計を用いた手作業が多く、計測時間とヒューマンエラーが課題でした。
F540の「Dimensioning(寸法計測)」サンプルアプリを使えば、搬送ベルト上を流れる箱の 長さ・幅・高さを自動計測してシステムに転送できます。また、「Level Measurement(レベル計測)」および「Completeness(充填確認)」サンプルアプリで、コンテナやカゴ台車の充填状態をリアルタイムにモニタリング可能です。
- 2D(光カーテン):複数台設置が必要、高さ方向は別途センサーを追加
- F540(3D):1台で長さ・幅・高さを同時計測。コンベア幅を超える大型荷物も1フレームで把握
さらに、F540のRGBカメラと組み合わせることで バーコードやQRコードの読み取り・ラベル識別も同時に実行できます。寸法データとラベルデータを統合することで、計測・仕分け・在庫管理を一つのセンサーで担える点が大きな強みです。
6. まとめ
倉庫・工場における2D LiDARの3D化は、単なるセンサーのアップグレードにとどまらず、AGVの自律搬送精度向上・寸法計測の自動化・充填管理の効率化など、現場の自動化水準そのものを引き上げます。F540は広い視野角(110° × 90°)と高いフレームレート(最大60 fps)、そして標準搭載のアプリ群により、導入後すぐに実用的な効果を得られます。

次回第4回では、AGV・AMRの物体認識精度をさらに高める「インフラ検知」「棚認識」「人・物体の混在環境への対応」について、具体的な事例を交えてご紹介します。
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